Insight
前編では、Instagramアカウント「コスメ狂いの3姉妹(@cosme_sanshimai)」として発信する、のRin(20代)さん、もみー(30代)さん、natu(40代)さんに、J-BeautyとK-Beautyの魅力や使い分け、世代ごとのコスメ観を伺いました。
3人の話から見えてきたのは、J-Beautyへの深い信頼。毎日のスキンケアやベースメイクでは、研究力や使いやすさ、肌への寄り添いを感じる日本コスメを選ぶことが多いといいます。
後編では、そんな3人が実際に信頼を寄せるJ-Beauty名品を紹介。さらに、日本コスメがこれからもっと選ばれるために必要な“伝える力”について考えます。
ここからは、3人が実際に信頼を寄せるJ-Beautyの名品を紹介します。
選ばれたアイテムには、ここまで語られてきた「誠実さ」「使いやすさ」「肌や生活への寄り添い」が、それぞれの形で表れていました。

・エリクシール/レチノパワー リンクルクリーム ba
Rin(20代)さんが「資生堂のレチノールは別格」と語るアイテム。研究の深さだけでなく、中身を守る容器設計や、使う側の不安に寄り添う丁寧な姿勢にブランドの誠実さを感じるといいます。
・イハダ/薬用うるおいローション
大学生時代、ひどい肌荒れに悩んでいたRin(20代)さんにとっての「人生スキンケア」。高精製ワセリン配合でありながら、重たすぎず使いやすい使用感に、研究への情熱を感じたそうです。
・マキアージュ/エッセンスリキッド EX
「ファンデーションを美容液で包む」というスキンケア発想に驚いたという一品。カバー力、軽さ、崩れにくさを兼ね備えた機能性の高さにJ-Beautyらしさを感じるといいます。

・FAS/FAS ザ クリア クレンジングジェル
京都産発酵ハチミツを配合し、メイクを落としながら肌をなめらかに整える発想が魅力。日本産の素材を活かしたものづくりに、J-Beautyらしさを感じるそうです。
・コスメデコルテ/ルージュデコルテ ティント & プランプ
塗り心地の良さと、ティント・プランプの機能を兼ね備えたリップ。ナチュラルな質感も、日本コスメらしくて好きだと話します。
・ルナソル/アイカラーレーションN
パールやラメの美しさ、ナチュラルな発色、初心者でも使いやすい設計が魅力。どんなシチュエーションにも対応できる万能さも、J-Beautyらしいポイントです。

・コスメデコルテ/リポソーム アドバンスト リペアセラム
長年愛され続ける名品として挙げた一品。リポソーム技術による処方設計に、日本コスメらしい研究力を感じるといいます。
・ポーラ/B.A ローション
20代の頃、初めて使って感動したというローション。ポーラというブランドの背景にも触れながら、「J-Beautyには、自分のためより人のために作られていると感じるものが多い」と話します。
・アルビオン/アンフィネス ブライトニング コンセントレート ミルク
先行乳液という独自の美容文化を作ってきたアルビオンらしい一品としてセレクト。日本ならではのスキンケア文化を感じるアイテムです。
3人とも、日本コスメの品質や研究力には強い信頼を寄せています。
一方で、その良さが消費者に十分伝わっていないことには、もどかしさを感じていました。
発信者として特に難しさを感じるのが、広告表現の制限です。PRで本当に良いと思った商品でも、言いたいことを伝えきれない場面があるといいます。
「伝えたい魅力が沢山あっても、薬事上のルールや細かい注釈で本来の良さが届きにくく、とてももどかしさを感じます」 Rin(20代)さん
「本当にいいって思って言いたいのに、ニュアンスでしか言えないのがもどかしい」 もみー(30代)さん
海外ではストレートに伝えられることが、日本では遠回しな表現になってしまう。品質に自信があるからこそ、その魅力を十分に届けきれないことが課題として見えてきます。
natu(40代)さんが指摘したのは、日本ブランドがもっと「誰に届ける商品なのか」を明確にしてもいいのではないか、という視点です。
「もっと恐れずに、誰か特定の人を救う感じの商品作りをしてもいいんじゃないかなと思います」 natu(40代)さん
すべての人に届けようとすると、結果的に誰にも刺さらないことがある。日本ブランドが持つ研究力や丁寧なものづくりを活かすためにも、もっと具体的な悩みやターゲットに向けて発信してもいいのではないかと語ります。
もみーさんが期待するのは、世界観やパッケージの“ときめき”。品質が良いからこそ、最初に手に取ってもらうための見せ方も大切だと話します。
「開発や企画の話を聞くと、とてもかわいいコンセプトなのに、パッケージが急に地味、みたいなことがあったりするのがちょっともったいないなと感じます」 もみー(30代)さん
「ぱっと瞬時に目に入ってくるような見せ方ができたらいいなと思います」 Rin(20代)さん
良いものをつくるだけでなく、その魅力が一瞬で伝わること。成分や技術、ブランドの想いが消費者に直感的に届くよう、見せ方を変えていくことも、これからのJ-Beautyには求められているのかもしれません。
ただし、3人が共通して願っていたのは、日本ブランドならではの誠実さを守ってほしいということでした。
3人の言葉から見えてきた、J-Beautyの現在地
強みは、研究力、品質設計、肌や生活に寄り添う誠実なものづくり。
K-Beautyの魅力は、トレンドの速さ、直感的に伝わる見せ方、ときめく世界観。
課題は、J-Beautyの良さが、ひと目で伝わりにくいこと。
これから必要なことは、誠実さを守りながら、誰に届けるかをより明確にすること。
今回の取材を通して、3人がJ-Beautyに深い信頼を寄せていることが伝わってきました。
毎日使える安心感、肌悩みに寄り添う設計、長く使い続けられる心地よさ。3人の言葉からは、日本コスメが積み重ねてきた誠実なものづくりへの評価が伝わってきます。
一方で、K-Beautyのように、直感的に「欲しい」と思わせる見せ方や、ときめく世界観も、今の時代には欠かせない魅力です。
J-BeautyがK-Beautyのようになる必要はありません。けれど、研究や品質に込められた価値を、もっとわかりやすく、感覚的に届ける余地はまだあります。
誠実さを手放さず、もっと伝わるほうへ。
J-Beautyはこれからも、日々の肌と気持ちに寄り添いながら、新しい選ばれ方を広げていけるはずです。
企画・取材・文/金子麻衣