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本調査は2022年3月発行『ampule magazine Vol.03』から抜粋したものです。
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ampule magazine Vol.03「戦うブランドたち」
昨今注目を集める「ブランドアクティビズム」について、『ブランド・アクティビズム』の著者であるクリスチャン・サーカー氏への独占インタビューをはじめ、社会課題への関心が強いとされる「Z世代」への意識調査や、ブランドアクティビズムに取り組む企業の国内外の事例などから深掘り。ブランドアクティビズムの「今」と「これから」を探ります。
<調査概要>
トレンダーズ調べ
調査期間:2022年1月5~7日
調査対象:15~24歳男女600名、45~54歳歳男女607名(均等割付)
調査方法:インターネット調査
消費やトレンドの中心として注目されているZ世代。多様性を重んじ、自分の意見をSNSで発信し、社会問題への関心が高い世代だと言われるが、果たして実態はどうなのか。彼らの親世代であり団塊世代ジュニアと称されるX世代(1965~1980年頃生まれ)との比較も交えながら、Z世代のリアルを意識調査から分析する。
<Z世代>はい:50%
<X世代>はい:40%
1位:貧困の問題 48%
2位:ジェンダーの問題 45%
3位:食料の問題(飢餓、フードロス等) 44%
4位:教育の問題 37%
5位:気候変動の問題 30%
<Z世代>はい:43%
→「はい」と回答した人のうち「既に何かしら取り組んでいる」が17%
<X世代>はい:35%
社会問題への関心度はZ世代とX世代で10ptの差があり、若い世代の意識の高さがうかがえる。きっかけを聞くと学校の授業で学んだり、ニュースやSNSでよく見かけたりというパターンが多かった。2020年度から段階を経て実施されている「新学習指導要領」には「持続可能な社会の創り手の育成」が目標として明記されており、これからの世代はより一層、当たり前に社会問題を学ぶようにな
る。また自身や知人が当事者として問題に向き合っているという理由も少なくなく、具体的に多かったのはLGBTQ+に関する意見だった。「ジェンダーの問題」はZ世代が関心を抱く社会問題の2位(45%)だが、X世代の数値(31%)と比較すると14ptも高く、関心の差が顕著だ。さらにZ世代の女性に絞ると関心度は53%にまで上る。ジェンダー平等、多様性推進といった分野は、特にZ世代が変革の中心を担っていきそうだ。一方で「気候変動の問題」への関心はX世代の方が約30ptも高い(59.6%)。世界では若者のアクティビストが目立つ分野なだけに意外かもしれないが、日本においてはX世代がけん引していく必要がありそうだ。
・YahooニュースやTwitterのトレンドでよく見かけるところからリプライやコメントでも多くの人が関心を寄せており、鋭い指摘などを目にすると私自身も他人事ではないと考えさせられるから。 (23歳女性)
・中学校や高校での授業で取り扱うことが多く、衝撃的な事実を目の当たりにすることもあり身近に感じられる問題であったから。また、自分自身の行動で少しではあるが変えることができるからできることをやろうという意識をするようになった。(18歳男性)
・ジェンダーに関しては、自身の周りに同性愛者がいること、自分自身同性と付き合えないと思ったことがないことがきっかけで、特に関心を持ってはいる。(24歳女性)
はい:56%
・多くの人が目にする機会が多い大企業こそ人々の模範となるべきだと考えるから。加えてある程度資
・金面の余裕がなければ社会問題の解決など取り組めないと思うから。(23歳女性)
個人が気を付けようと思っても 、そのための商品やサービスがないとどうにもならないこともあるから。(18歳女性)
・影響力が大きく 、企業やブランドが 取り組むことで人々からの支持も上がると思う。(18歳女性)
企業やブランドが社会問題の解決に取り組むべき理由としてZ世代が回答したのが、「大衆への影響力」「資金面」「好感度」「生活者も消費で貢献できる点」の大きく4つだ。Z世代は個の価値を重視するが、同時にそれだけでは影響力が弱いことも自覚している。企業やブランドの活動に賛同することで、一緒に社会をよくしていきたいと願っているのだ。またZ世代を語るうえで、SNSは欠かせない。今回の調査でもSNSアカウントを持っているZ世代の約3人に1人が、何かしら社会問題に関することを投稿した経験があると答えた。企業やブランドの社会貢献に関することを投稿したことがある人も、25%いる。これからの社会問題解決の担い手として中心になっていくのは、間違いなくActivistなZ世代だ。そしてSNSは重要な解決手段のひとつといえる。ブランドアクティビズムの実現にも、Z世代は強力なパートナーとなっているのではないか。
トレンダーズ株式会社 プランナー/SNSアナリスト
佐藤 由紀奈
WEBプロダクションでのコンテンツプランナーを経て、2014年にトレンダーズ株式会社に入社。現在はコミュニケーションプランナーとして食品・化粧品をはじめとする幅広い業界のマーケティング支援を行っており、生活者インサイトやSNSトレンドの 分析を得意とする。