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2026年10月16日、日本の美容産業を国として後押しする自民党議員による「J-Beauty産業振興議員連盟(仮称)」が設立されました。12月には化粧品メーカーやサロンの団体からなる民間主導のコンソーシアムが発足する予定です。
海外製品に押されて近年は存在感を失いつつある日本の美容産業。今回の議連発足を契機に再度盛り上がりを見せることができるのでしょうか。

議連の前身は、林芳正衆院議員が会長を務める自民党の「J-Beauty産業研究会」。2025年6月から議論を重ね、今回の議連の設立となりました。
設立総会では、林氏が会長に、小林史明衆院議員が幹事長に、金子容三衆院議員が事務局長に就任。国会議員本人45人と代理43人が出席し、企業・団体からも61人が参加しました。
今後、議連は業界や省庁からの課題を整理し、政府への提言やルールの見直しを後押しする役割が期待されます。設立総会では化粧品会社での勤務経験を持つ議員や、医師出身の議員も名を連ね、意見が交わされました。
当日、報道陣の注目を集めたのは、数日前から一部で報じられていた高市早苗首相の入会。会見で小林史明幹事長は、今年3月ごろ、研究会メンバーの働きかけで首相が強い関心を示していたと経緯を説明。首相に最高顧問への就任を前提として入会を依頼していたといいます。城内実・経済財政担当相、片山さつき財務相、上野賢一郎厚生労働相も入会の意向を示しました。
会見には、日本化粧品工業会会長で、民間コンソーシアムの準備委員長を務める小林一俊氏(コーセーホールディングス会長)も出席。参加する企業・団体の間で情報量や期待にまだ差があることを認めたうえで、年末にかけて密にコミュニケーションをとり、一丸となって取り組む考えを示しました。

設立総会では、内閣府、経済産業省、厚生労働省、総務省、外務省の5府省が取り組みを報告し、観光庁や消費者庁など4つの省庁も同席。関係する省庁が横断的に顔をそろえ、国の前向きな姿勢がうかがえました。
J-Beautyは化粧品だけでなく、美容家電やヘア、ネイル、エステまで、日本の美容に関わる製品とサービスの両方を含みます。化粧品の広告のルールや美容師の資格は厚生労働省、美容家電や海外への売り込み(海外展開の支援など)は経済産業省、ネット上の違法な広告への対策は総務省、訪日客向けの美容体験は観光庁と、分野ごとに担当が分かれているため、振興には省庁の垣根を超えた連携が不可欠。今後、内閣府は省庁を横断する推進戦略会議を立ち上げる方針です。
経済産業省の検討会は、2033年に化粧品の海外での売り上げ(現地での生産・販売を含む)を2兆円にする目標を掲げています。
財務省の貿易統計によると、日本の化粧品の輸出額は2021年をピークに減少傾向です。政府の「知的財産推進計画2026」でも、コンテンツや食などが伸びるなか、前年を下回ったのは化粧品の輸出額だけでした(2024年は約0.5兆円)。
最大の課題は、薬機法による規制です。化粧品がうたえる効果は56通りに限られます。
たとえば近年研究が進む白髪の領域はその範囲外。新成分を開発し効果が数値で裏付けられても、臨床データを示すことや「白髪を防ぐ」とうたうことはできません。消費者を守るための規制ですが、根拠を示すのが一般的な海外や、成分を重視する人が増えた市場で、科学的根拠を示せないことが国際競争力を弱める一因となっています。
この長年の懸案に対し、厚労省は見直しに着手。2027年度の基準改正をめざしていますが、一方でこの厳しい規制が日本の美容の「安全性」と「きめ細かさ」を支えてきたともいえます。日本のメーカーは表現が制限されるからこそ、使って実感できる品質を追求して研究を重ね、特に基礎研究では世界トップクラスの実績があります。
根拠を数値で語れる仕組みが整えば、それ自体がJ-Beautyとして世界に打ち出せる強みになるのではないでしょうか。また、カットやカラー、ヘッドスパ、エステなど、日本のサロンの繊細な技術とメソッドも、訪日客の間でも人気が高いようにJ-Beautyの大切な柱です。
12月には化粧品や美容家電、ヘア、エステ、ネイルなどの業界団体や企業が手を組む「J-Beauty民間コンソーシアム」が立ち上がる予定です。発足にあたり、立場の異なるメンバーが本当にワンチームとして機能できるかどうかが問われるでしょう。
美容の分野は幅広く、事業者の規模もさまざまです。中小の事業者にもJ-Beautyを自分ごととして受け止めてもらうには、業界と国をつなぐ議連の働きかけが鍵となります。生活者や美容のリアルな現場の声が届く仕組みづくりも欠かせません。
そして、今回の国策に使われるのが私たちの税金だということも忘れてはなりません。国の事業である以上、毎年の目標と成果を生活者にもわかる形で示し、納得を得られる取り組みとすることが求められます。2033年に2兆円という目標まで、残された時間は約7年。規制の見直しや海外展開の支援を年ごとの目標と結びつけ、進み具合を確かめられる仕組みが欠かせないと、業界関係者からの声も聞かれます。
国を挙げた後押しで日本の美容の価値が正しく伝わり、確かな根拠をもとに商品やサービスを選べるようになれば、最終的に恩恵を受けるのは、毎日コスメを選び、サロンを利用する私たち生活者です。J-Beautyの船出を自分ごととして見守りながら、12月のコンソーシアム発足と、その先の発展に期待したいと思います。
女性誌・美容誌など生活メディアの編集・執筆に25年以上携わる。ヘアケアを専門分野とし、ユーザー視点に立ったメソッドの監修も手がける。テレビ出演や講演も多数。著書に『いい白髪ケア、やばい白髪ケア』(小学館)ほか。