Insight
今年も早いもので年度末を迎えておりますが、
皆さんいかがお過ごしでしょうか?
美容系ライターさんをお迎えしたトレンド情報交流会ampule Boostars★ランチミーティングも第4回目を迎えました!!
今回のテーマは『スキンケア成分ハンター竹岡さんに2025年注目のトレンド成分を徹底質問!』の様子をお届けします。
第4回となった今回は、特別ゲストとしてスキンケア成分ハンターの竹岡篤史さんをお招きし、
『2025年注目の成分』についてお話しいただきました。
参加者は全員メモが真っ黒になるくらい情報を書き込むほど充実の内容となりましたので、
是非最後までお付き合いいただけますと嬉しいです。
Q1:スキンケア成分ハンターのお仕事とは?
「スキンケア成分ハンター」というお仕事は、成分に関する発掘と応用を行う仕事です。名前の通り、世界中から美容成分を探し出し、化粧品に活用する技術や成分を見つけることが主な仕事です。
例えば、食品や化学工業といった化粧品業界とは全く異なる分野で使われている技術を、美容やスキンケアに応用したり、眠っている成分を発見して、その効能を活かす方法を見つけ出したりしています。
同じ時期に複数のメーカーが似た技術(成分)を採用することがありますが、その背景には、スキンケア成分ハンターの動きが関係していることも多いです。スキンケア成分ハンターは、こうした技術(成分)の発掘と活用の仕組み作りを担い、美容業界の革新に貢献しています。
実は我々のような存在がマーケットを動かしていることもあります。
日本の薬機法では、化粧品の効果を直接アピールすることが難しいため、近年は「技術マーケティング」という手法が注目されています。これは、製品発表の前に、その製品に使われる技術を先に公開し、「こんなすごい技術があるんだよ」と発信することで、自由に情報を伝える戦略です。
例えば、某美容メーカーは、技術そのものをアピールし、その後の製品発表へとつなげています。ただし、メーカー自身が技術を紹介すると宣伝色が強くなるため、スキンケア成分ハンターのような第三者(美容成分や技術の開発者や研究者)が発信することで、客観性と信頼性を持たせる役割を果たしています。
スキンケア成分ハンターの仕事は、新しい成分を見つけるだけではなく、業界全体の仕組みを変えることにも関わっています。研究開発からマーケティングまで幅広く関与し、「日本の技術を世界へ、世界の技術を日本へ」という視点で、新しい技術の橋渡しを行っています。
今後も、美容業界の未来を切り拓くために、新たな技術や成分の発掘に挑戦し続けます!
Q2:今年注目の成分は?
スキンケア業界の変化は加速しており、最近では アゼライン酸・グルタチオン・PDRN(ポリデオキシリボヌクレオチド) を含む製品が注目を集めています。これらの成分を活用したアイテムが、2024年春から秋にかけて市場に登場し始めています。
さらに、ビタミンB群(特にパンテノール) の人気が高まっており、抗酸化作用や皮脂抑制効果が期待される成分として、春夏向けのスキンケアに多く採用されています。韓国ではすでにパンテノール配合の製品が増えており、日本市場でも導入が進むと予想されます。また、「デクスパンテノール」なども登場し、肌の代謝促進やメラニン抑制の効果が注目されています。
加えて、美容医療の分野ではビタミンDなど脂溶性の栄養素の重要性が高まり、分子栄養学の視点からも食事やサプリメントによる摂取が推奨されています。
ピーリング市場も進化中 で、従来の拭き取りタイプではなく、肌に優しいPHAやLHAを使った「リーブオン(塗布して放置)」タイプが登場。敏感肌でも使いやすく、今後のトレンドとして注目されています。
(※ロレアル社はLHA配合の製品を専売で展開し、他のブランドはPHAを軸にした製品開発を進めています。)
まとめると、今後注目すべき5つの成分は以下の通りです:
ペプチド:肌の再生・エイジングケアに有効
核酸(DNA・RNA):肌の修復・再生を促進
アゼライン酸類:肌のトーンを整え、炎症を抑制
ビタミン群(特にB・C): 抗酸化作用と肌の健康維持
ピーリング成分(PHA・LHA): 肌に優しい角質ケア
これらの成分は今後のスキンケア市場で大きな影響を与えると考えられます!
Q3:最近注目するスキンケアの商品があれば、具体的に教えてください。
最近注目しているスキンケア製品のひとつに、ドクター365のプレエッセンス があります。エキス・ビタミンC・ペプチドのバランスが絶妙で、男女問わず使いやすい設計が特徴です。
また、某大手化粧品メーカーの研究やその発信が積極的と感じており、免疫や細胞老化 に関するスキンケア技術にも注目しています。
特に、2024年3月発売のアルティミューンは細胞老化に着目した先進的なスキンケア製品。その背景には、昨年グローバルで話題になった「セノリティクス」技術があります。これは老化細胞の除去を目的とした技術で、某大手化粧品メーカーが発表したことでその他大手企業にも広がりつつあります。さらに、「セノモーフィクス」 という技術も登場し、老化細胞の炎症性サイトカイン(SASP)をコントロールする新たなアプローチが期待されています。
美容医療の分野では、「マイクロRFなどの医療機器」 を使った老化細胞の除去が進んでおり、スキンケアと美容医療の境界が曖昧になってきています。また、体内からのアプローチとして、「分子栄養学」 も進化中。これまでは不足した栄養を補う考え方が主流でしたが、老化の根本原因が解明され、ビタミンDやNMN、ケルセチン、スルフォラファンといった成分が注目されています。
Q4:竹岡さんが思う最強の成分の組み合わせは?
スキンケアにおいて 成分の組み合わせ は非常に重要です。美容業界では単一成分が強調されがちですが、実際の開発現場では、複数の成分を組み合わせて最大限の効果を引き出す処方が求められます。
組み合わせの方法には大きく2つのアプローチがあります。
1つは 異なるメカニズムの成分を理論的に組み合わせる方法、もう1つは 実際の相性を確認し、相乗効果を生む組み合わせを見つける方法 です。
これまで多くのブランドは前者のアプローチを採用してきましたが、現在では徐々に後者の科学的に検証された成分の組み合わせをする方法が広がってきています。
おすすめの成分組み合わせ
・ ビタミンC × グルタチオン × ビタミンB3(ナイアシン)
・ ナイアシンアミド × ビタミンB6(ピリドキシン)
特に、グルタチオンは体内で直接的に合成できないため、ビタミンCやビタミンB群と組み合わせることで、還元型のグルタチオンを維持し、ビタミンCと合わせた抗酸化作用や解毒力を最大限に引き出すことができます。
ビタミンCは酸化しやすいため、体内での再生が必要です。その再生を助けるのが グルタチオン であり、さらにビタミンB群がその働きをサポートします。そのため、 ビタミンCは口から定期的に摂取し、ビタミンB群を組み合わせて外用する のが賢い使い方です。例えば、ビタミンB6(ピリドキシン )を肌に塗布することで、スキンケア効果を高めることができます。
スキンケアの順番と塗布のポイント
スキンケアを効果的にするには 水溶性成分を先に、油溶性成分を後に 使用するのが基本です。
洗顔後に入りやすい水溶性成分(ビタミンB、C、ペプチド) を最初に塗る → 肌にしっかり浸透させる油溶性成分(ビタミンE、アスタキサンチンなど) を後から塗る → 肌のバリアを強化、最後にクリームや乳液で蓋をする → 成分が長時間肌にとどまるようにする
基本的な順番としては ローション・トナー → 美容液 → 乳液・クリーム という流れが理想的です。それぞれの成分の特性を理解し、適切な順番で使うことで、より効果的なスキンケアが実現できます。油溶性成分はクリームやミルク美容液(乳液)に配合されていることが多いので、取り入れるタイミングは賢く選択。
現在の定番で 最も効果的な組み合わせ は ペプチド × ビタミンB × ビタミンC で、さらに ビタミンEや鎮静成分を加える とより強力な効果が期待できます。スキンケアの基礎を押さえつつ、自分に合った組み合わせを見つけることが、美肌を維持する鍵になります!
Q5:日本と韓国で注目される成分の違いはありますか?
日本と韓国ではスキンケア成分の開発アプローチが異なります。日本は 基礎研究 が非常に強く、老化やシミ、シワのメカニズムを解明し、それに基づいて安全性が担保された歴史の長いビタミンや和漢植物エキス、発酵エキスを応用する傾向があります。一方、韓国は 最新の化学成分やペプチドを迅速に活用 するスタイルで、開発のスピードが非常に速いのが特徴です。
特に、韓国では CICA(シカ)成分 に注目が集まっており、アジアチコシド、マデッカソシド などの有効成分を含むツボクサ由来のスキンケア製品が多く開発されています。これらはもともとスイスの製薬会社ラロシュが開発した成分で、韓国では医薬品としても使用されることがあります。マダガスカル産のツボクサは特に濃度が高いと言われています。
ペプチド技術においては、韓国が世界トップレベル で、コストと技術のバランスが優れています。中国はまだ技術面で追いついておらず、アメリカではペプチド関連の企業が増加しており、現在約3000社が存在。日本では700社ほどが登録されており、今後さらなる成長が見込まれます。
また、韓国の特許制度が比較的緩いため、海外の技術をすぐに導入し、安価に製品化できるのも強みです。これにより、ペプチドやCICA成分をいち早く市場に展開し、国際的な競争力を高めています。
最近注目されている成分 としては、スルフォラファン(ブロッコリースプラウト由来)や、スルフィニル(わさび由来)があり、これらの古来の成分が新たに見直されています。今後も、日本と韓国のスキンケア開発は異なる方向で進化していくでしょう。
皆さん、いかがでしたでしょうか?
参加したampuleの編集部員も目から鱗な情報が多く、非常に勉強になるイベントとなりました!
明日からでも実践できそうなことや知識として取り入れてスキンケア選びができることもありそうですよね!
是非参考にしてみてください。