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REPORT

Insight

2024/04/08
調査

20代から60代まで!意識調査から見るメンズ美容の現在地<ampule magazine Vol.07より>


様々なメディアで「メンズ美容」が取り上げられるようになっているが、その多くは10~20代を中心とした若い世代にフォーカスしたもののように思う。しかし美容に関心があるのは若い世代だけなのか? どのような関心の抱き方をしているのか? 60代までの各世代を対象にした調査を通し、日本のメンズ美容の現在地、そして今後について分析したい。

Q.あなたは美容に関心がありますか?

<「はい」と答えた割合>
20代:42.9%
30代:42.2%
40代:36.8%
50代:25.7%
60代:19.5%

Q.男性の美容(スキンケアやメイク)を表現する言葉の印象は?

【メンズ美容】
<「好感が持てる」と回答した割合>
20代:59.6%
30代:52.0%
40代:42.5%
50代:28.1%
60代:21.1%

世代によって好感を持つかはかなり大きな差が表れた。各世代のポイント差を見ると40-50代が最も大きく、ここが自身のことを「メンズ」と認識できる境界線と言えそうだ。

【美容男子】
<「好感が持てる」と回答した割合>
20代:56.1%
30代:46.3%
40代:33.5%
50代:21.5%
60代:14.9%

「メンズ美容」以上に世代間で感じる印象に差が出ている。「男子」という表現が若さを感じさせることもあってか、40代になると好感が3割程度しかない。中年以上には自分事化しづらい言葉である一方、20代は6割近くが好感を抱いており、対象を限定する言葉としては効果的とも言える。

【身だしなみ】
<「好感が持てる」と回答した割合>
20代:71.2%
30代:73.9%
40代:77.8%
50代:79.9%
60代:83.6%

「メンズ美容」「美容男子」とは違い、世代間でのギャップはほとんど見られない。むしろ世代が上がるほどに好感を抱く割合も高くなっている。60代になっても身だしなみへの関心が高い点に着目すれば、コミュニケーションによってはシニア男性層の美容関心を高められる可能性も考えられる。

【清潔感】
<「好感が持てる」と回答した割合>
20代:72.0%
30代:74.8%
40代:78.4%
50代:82.5%
60代:87.3%

「身だしなみ」と同様の傾向が表れており、50代、60代が好感を持つ割合は「身だしなみ」よりも高くなっている。エイジングによる様々な身体の変化が意識に影響している可能性が見てとれる。

【自己プロデュース】
<「好感が持てる」と回答した割合>
20代:54.0%
30代:49.1%
40代:44.4%
50代:41.0%
60代:40.6%

こちらも世代間でそこまで大きなギャップは見られなかった。中年以上の世代でも「自分をどう見せるか」という点にある程度の関心がありそうだということが判明した。

【セルフブランディング】
<「好感が持てる」と回答した割合>
20代:53.6%
30代:48.3%
40代:42.4%
50代:35.8%
60代:34.8%

意味合い的には「自己プロデュース」と似ているが、世代間の差は若干こちらの言葉のほうが大きくなった。SNSの普及と相まって若い世代では浸透している言葉ではあるが、中年以上の世代にはなじみが薄いのかもしれない。またカタカナの割合が多いことで、上の世代の受容度が下がりやすくなる
可能性も考えられる。

<考察>

若さや美容に寄った言葉になると、中年以上の世代の抵抗感が非常に高くなることがわかった。「メンズ美容」「美容男子」といったワードは新しさもありメディアでも多用されるが、安易に使ってしまうと、潜在的に美容に関心を抱いている層を遠ざけてしまうことにもなりかねない。しかし調査結果からもわかる通り、「清潔感」「自己プデュース」といった美容が本来の価値を発揮できる部分への関心はどの世代も高い。「美しさ」に偏らないコミュニケーションを意識することで、むしろメンズ美容の未来は広がっていくのかもしれない。

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